うさぎのWuschelが月に帰りました。

2019年9月7日(土)、家族の一員であるうさぎ、Wuschel(ブッシェル)が月に帰りました。7歳になったばかりでした。 動物の生き死に、プライベートなことをブログに態々書く必要有るの?とも思いましたが、ただただ、Wuschelが確かに生きていた、という事を残したくて書くことを決めました。 私のWuschelへのただの思い出、ポエムになりますので、この記事を読む人が得られるものは特にないと思います。

2012年9月、私がドイツに来てから数日後に、ホームセンターで彼女(現在の妻)がWuschelを見つけ、彼女が一目惚れして家族に迎え入れました。 私の感覚では確かドイツに来てから2日後ぐらいだったと思うのですが、妻は9月6日だった、ということで、2012年9月6日が誕生日となりました。 つまり私のドイツでの生活はWuschelの出会いとともに始まり、常に一緒に歩んできたことになります。 このWuschelこそが、私をうさぎ大好き沼に引きずり込んだ張本人です。

さて、Wuschelは、普通のうさぎなら経験しなくていいであろう、健康上の問題を抱えた生涯を送りました。

まず、腸の状態が普通ではなく、普通のうさぎのコロコロした糞ではなく、軟便か下痢という問題を常に抱えていました。 そのため、しばらくするとお尻周りに軟便と下痢が固まり、大きな蓋のような状態になってしまうので、その都度Wuschelを抱え上げてお尻周りの毛を固まった糞ごと刈り取ってあげていました。 かなりカチカチに固まるので場合によっては本当に大変な作業でした。 獣医いわく、生まれつきそういう体質なので、どうしようもない、とのことでした。 当然Wuschelは私達の家族なので、誰か別の人に譲渡したり、安楽死を検討したことなんて一瞬たりともありませんでした。 これも家族のため、これでWuschelが気持ち悪い思いをしなくて済むのならと時々面倒くさいな、とは思いながらも苦にはならずに続けていました。 いつからか、恐らく2018年頃からは刈る方式ではなくてお尻部分をぬるま湯と赤ちゃん用シャンプーで洗う方式に切り替えました。

また、アンゴラウサギ、とまではいきませんが、毛がどんどん伸びていくタイプだったので、定期的に全身の毛を刈ってあげる必要もありました。 お尻周りと全身の毛を刈るのに、今まで恐らく5台ほどのバリカンを購入したと思います。(何故かよく壊れた。。。)

そして、上顎にも問題がありました。 Wuschelが3歳ほどになった頃だと思いますが、前歯の前面上側、向かって左側(Wuschelの右側)から何かの腫れ物が大きくなってきました。 最終的に獣医に全身麻酔の上外科手術で除去してもらいました。

そして4歳か5歳ぐらい、2017年頃だったと思いますが、人参の葉っぱをあげているときに、明らかに前歯の形がおかしくなっていることに気が付きました。 歯が異常に長く、そして左右に分かれたすきっ歯のような状態だったと思います。 これも同様に腫瘍が原因でした。 獣医いわく、腫瘍が前歯を圧迫して変形させている、とのことでした。 これも全身麻酔の上外科手術で除去してもらったのですが、もう前歯が完璧に破壊されている、ということで、腫瘍と同時にうさぎの特徴である前歯を2本とも抜歯することになりました。

この時は本当に心配しました。前歯がないのにどうやってご飯を食べるのか?このまま餓死してしまうのではないか? しかし、硬いものは齧って食べられなくなりますが、奥歯であれば普通に咀嚼することが出来るので、以降人参を千切りしてからあげる、というのを最後まで続けました。 最終的にはフードプロセッサーを購入して大分楽を出来るようになりましたが、しばらくは私が毎晩シャワー後に数日分の人参を千切りにしていました。これが毎回30~50分ほど掛かっていたような気がします(不器用なので) 当然これもカワイイWuschelのためなら、と思えば面倒くさいな、とは感じながらも全然苦にはなりませんでした。

そしてこの2回目の手術が終わってから少し間を置いて、Wuschelはずーっと一人だから、流石に寂しいだろう、と妻と話し合い、2羽目のうさぎ、Karamel(カラメル)を迎えました。 この時点でWuschel5歳、Karamel0歳と、年齢差が5歳あり、Wuschelは前述の通りずっと一人ぼっちで5年間も生きてきて他のうさぎとのコンタクトも無かったので、もしかしたら受け入れてくれないかな、と不安もあり、もしダメなら別の部屋でちゃんと最後までそれぞれ面倒見るぞ、という覚悟でペットショップからお迎えしてきたのですが、全て杞憂でした。 Karamelをひと目見たWuschelは本当に文字通り目の輝きが変わりました。 Wuschelは本当に本当にKaramelが大好きで、ずっとKaramelを見つめていました。 とはいえ体格差も有るので、2週間ほどは物理的に分けて居ましたが、いざ対面、となると、逆にKaramelがWuschelを追いかけ回す、という状態になってしまいました。 あぁ、Wuschelは大丈夫だったのに、Karamelはダメか、と落胆しまいたが、よくよく観察していると追いかけまわした後、結局2羽で一緒になってリラックスしたりご飯を食べていて、さらに血が出るような本気の喧嘩はしていないことが分かり、一安心しました。

そしてKaramelを迎えたことで、Wuschelに2つの大きな変化が訪れます。 まず、上顎を手術するとどうやら常に涙が出て、目の周りが常に濡れてしまっているという状態になるうさぎが多いようで、Wuschelもまさにその状態になっていまいた。 これも手術して生き延びるため仕方のないこと、と思っていましたが、KaramelがWuschelの目の周りを舐めて綺麗にしてくれたお陰で、目の周りが以前通り、とまではいきませんが、とても綺麗な状態に保たれるようになりました。

そして次に、本当に嬉しかった変化がWuschelが普通のコロコロした糞をするようになったことです。 本当の理由はわかりませんが、

  • Karamelが来た事で寂しさによるストレスの減少
  • Karamelを購入したお店から購入し始めた特製のペレット

が考えられるかな?と思っています。 そしてうさぎですので当然食糞をしますが、常に軟便問題を抱えていたWuschelが、いたって健康なKaramelの糞を食べることで、腸内細菌などのバランスが調整された、ということも有るのではと考えています。

以降、やっぱり軟便や下痢を1ヶ月から2ヶ月月に一回のペースでしていましたが、以前から比べたら本当に健康体に近づいたな、と思います。

今までは廊下の広めのスペースに居てもらいましたが、2羽ともなると流石に手狭になってきたのと、家具を搬入するのでそのスペースを使いたいということもあり、2017年、夏が終わった頃ぐらいに普段私と妻が生活してる居間に移動してきました。

さらにその後その部屋の一角に日曜大工で専用のうさぎスペースを儲け、ある程度大きめのスペースで可能な限りのびのび生活できるようにしたつもりです。これが2018年9月でした。

2019年7月12日(金)、新しい3羽目のMoka(モカ)を迎え入れました。 流石にWuschelがもうすぐで7歳になり、もう若いとは言えない年齢になってきたので、もしもの事が有ったら、Karamelがひとりぼっちになっちゃうね、それは可哀想だねと妻と話し合いMokaを迎え入れることになりました。 これまたKaramelを迎え入れた時同様に少しの間は隔離していまいたが、基本的にはすんなり3羽とも馴染んでくれました。

さて、実はMokaを迎え入れる数日前から、Wuschelの上顎から再度腫瘍が顔を覗かせ始めていることに気づきました。 しばらくは様子を見て、大きくなるようであればまた獣医に行かなければな、と思っていたのですが、ちょうどMokaを迎え入れた2019年7月12日(金)の時点で、大きくなってきているのが確実だったので、翌日7月13日(土)に、Mokaの予防接種のために獣医に行く必要が有ったので、一緒にWuschelの腫瘍も見てもらおう、となりました。

そして翌日、獣医に見せた所、腫瘍だね、じゃあ外科手術で取りますね、という軽い感じの話だったので、特段心配はしていませんでした。 しかし2019年7月15日(月)の手術当日、手術中の獣医から妻に電話があり、「上顎の骨部分まで完璧にダメになっているので、上顎の骨の一部を除去する。基本的には生き延びられないと思うので安楽死をおすすめするがどうか」という連絡がありました。 妻は即座に安楽死は絶対にしない、と返答し、当日私は仕事を昼で切り上げて自宅に戻り、手術が終わるのを待って、二人でWuschelを迎えに行きました。 骨を除去するとは、一体どういう風貌になってしまっているのか、そもそも大丈夫なのか、不安で押しつぶされそうで、息をするのも辛かったです。 いざ獣医に案内されてWuschelを見ると、見た目上は全く変化がありませんでした。 獣医いわく、後はWuschelの生きる力次第。ご飯を食べられれば、100%とは言い切れないが多分大丈夫だろう、とのことでした。 抗生物質も渡されて、一週間毎日1回飲ませてくれ、とのことで、Wuschelを連れて帰りました。 まだまだ安心は出来ませんでしたが、それでもWuschelが生きて家に帰ってきてくれたことが本当に嬉しくて大泣きしてしまいました。

そして次の日の7月16日(火)、仕事をしていると妻からWuschelがご飯を食べたというメッセージが来ました。(動画付き) 本当に嬉しくて、ホッとして、Wuschelが誇らしくて、これまた会社のトイレで泣きました。 その後、言われたとおり一週間ほど渡されたプラスチック製の注射器状の物で、毎日2ミリリットルほど抗生物質を直接口に流し込みました。 やっぱり嫌がって逃げようとするので、本当は可哀想だからしたくはなかったのですが、心を鬼にしてWuschelを抑えて妻と一緒になんとか抗生物質を与え続けました。

その後、7月、8月とどんどん体調が回復していって、実際に執刀してくれた獣医も「まさかWuschelが生き延びて、ご飯を食べられて元気になるとは思わかなかった。あんな状態にまで骨がダメになっているのは初めた見たので、恐らくダメだろうと思っていた。」と言って驚いていました。

Wuschelは生まれつき腸にも上顎にも問題が有るのに、獣医が驚くほどの生命力を見せつけてくれました。 そして生命力だけでなく、新参者の子うさぎを受け入れてくれる優しさまで持ち合わせているのです。 私はWuschelの事を本当に誇りに思っています。

しかし、ついにその時が来たような気がしてきました。 8月末頃からWuschelの涙と鼻水の量が増え、さらに呼吸が明らかにおかしくなってきました。 この辺りは手術の影響も有るだろうということと、涙と鼻水は2017年の2回目の手術の頃から問題を抱えているので、どれほどの問題が有るのか判断が付きませんでした。 しかし、明らかに今までに見たことが無いような下痢(本当に薄い茶色の水状)をし、呼吸も辛そうな状態が悪化していっていたので、Wuschelの7歳の誕生日当日、2019年9月6日(金)に獣医に行きました。 そこで、寄生虫のようなものが糞に混じって居るということが分かり、虫下しを与えてください、他にうさぎを飼っているならそちらも十中八九同じ状態だと考えられるので同様に虫下しを与えてください、と言われました。

これには私も妻も本当にホッとしました。 またWuschelが元気になれるのです。 家に帰ってきたらWuschelに虫下しをあげました。2ヶ月前の手術の後の抗生物質同様に、プラスチックの注射器型のやつです。 あまり美味しくなかっのか、すぐにWuschelは小屋の奥の方に走って逃げていきました。 もう夜遅くなっていたので、妻と軽めの遅い晩御飯を食べながら、良かったね、Wuschelまた元気になるね、安心して寝られるね、という話をしながら就寝しました。

しかし翌2019年9月7日(土)、朝8時頃に妻が私を起こしに来て「Wuschelがダメ」と涙声で伝えてきました。 ベッドを飛び出して見に行くと、Wuschelが横たわっていました。本当に眠っているような状態でした。 その時が来たら、自分自身もっと取り乱すかな、と思っていましたが、冷静にWuschelをうさぎ部屋から外に出してあげることが出来ました。 泣きながらではありましたが。

その後、Wuschelが入る箱を用意して、その中にWuschelが好きだったエサと岩塩、そしてKaramelとMokaの毛を少し入れてあげました。 少し考えた後、私と妻の髪の毛も一本ずつ入れました。 少し時間を置いてから、妻の実家に向かい、実家の庭にWuschelを埋葬してきました。 妻の実家に向かう前に、最後のWuschelとのドライブが汚れた車だと可哀想だと思い、洗車してからの出発でした。

私の祖父が亡くなった時もそうでしたが、顔が見えなくなる瞬間が最も辛いですね。このときばかりは嗚咽が止まりませんでした。 個人的には火葬して、遺骨で良いからをずっとWuschelにそばに居て欲しい、という思いが無くもなかったのですが、妻が今まで飼ってきた歴代のうさぎたちも、妻の実家の庭に眠っているので、そこに一緒に埋葬してあげたい、ということであったのでそうしました。

Wuschelは本当に強く、賢く、優しいうさぎでした。 妻とはよく、Wuschelは安楽死させたくない、家で眠るように、というのが理想だと話していましたが、本当にその通りになりました。

Wuschelは我々に、病院に行く機会を与えてくれました。 我々にWuschelの為に何かをする、という最後のチャンスを与えてくれたのです。 そして一晩の希望と安心を我々に与えることで、亡くなる瞬間までの、我々のつらい気持ちを防いでくれました。

また、獣医では診察後にWuschelのお尻を綺麗に洗ってくれました。Wuschelの一生の中で、一番綺麗な状態で眠りにつくことが出来たと思います。

亡くなった日時も私が家に居る土曜日です。これがもし平日の昼間であれば、妻は一人でWuschelの最後を見なければならなかったでしょう。 普通に考えれば時間的にそちらの方が可能性が高いです。 Wuschelは私達に、ショックが最小限で済むように、頑張ってくれたんです。

そして何より、虫が居るんだよ、KaramelとMokaにも薬をあげてねということを、その身をもって私達に教えてくれました。 もし気づけ無ければ、3羽とも最悪の自体になっていたか可能性があります。

当然そんなものはこじつけだと言われるとは思いますが、そんなことはどうでも良いです。 Wuschelは確かにその人生をかけて、私達のために、本当に全力で生きて、教えと救い、安らぎを与えてくれたのです。

Wuschel、お前が居なくて本当に寂しい。 月次な表現だけど、心にぽっかり穴が空いちゃったよ。 この穴は多分2度と埋まらなくて、お前を忘れることは俺が死ぬまで絶対に無い。 ただ、俺と嫁さん、KaramelとMokaはこれからしっかり前に進んで生きていくよ。 お前が居ないっていう穴は絶対に埋まらないけど、その穴の周りを、お前が居たら皆で一緒に経験するであったであろう思い出で埋めていくよ。 だから、寂しさとか悲しさは忘れられないんだろうけど、お前がコッチを心配しなくても済むように、俺達がこれからも人生の終着点までしっかり進んでいけるように、より多くの楽しい思い出をその穴の周りに残していくよ。

でも本当はやっぱりお前ともっともっと生きたかったよ。 お前が死んでしまったということもそうだけど、お前にもう二度と会えないという事実が只々辛い。 この世界でお前の時間だけが止まってしまったっていうのが本当に寂しいよ。

俺と嫁さんはお前にとってどうだっただろうか?お前の人生(うさぎ生?)はどうだった? お前が幸せだった、そう思ってくれているならこんなに嬉しいことは無いよ。 お腹とか鼻水、涙、上顎とか本当に色々辛いことが有ったね。 もうそれも全部終わったよ。もう大丈夫。ゆっくり休んでね。

Wuschel、お前は俺達の人生を本当に素晴らしいものにしてくれたよ。ありがとう。 Wuschel、絶対にお前のことを忘れないよ。いつまでも大好きだよ。本当に大好きだよ。

虹の橋とかそういう伝説(?)があるけど、俺はそういうのをあんまり信じてないんだよ。 でもお前のせいで、俺の宗教的な信念が思いっきり捻じ曲げられ始めてるよ。 でもWuschel、流石に虹の橋で会うまで待てないから、時々で良いから、夢の中に会いに来て欲しい。 お前に会いたいよ。今だって会社でこっそり泣いてるよ。

でも、あんまり心配かけたくないから、もう泣いてもお前には教えないよ。

Wuschel、生まれてきてくれてありがとう。俺達と出会ってくれてありがとう。俺達と生きてくれてありがとう。KaramelとMokaを受け入れてくれてありがとう。KaramelとMokaを救ってくれてありがとう。 今までありがとう。ゆっくり休んでね。 ありがとうWuschel。これからもずっと大好きだよ。愛してるよ。

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公開日:2019/09/09

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ドイツの現地企業でWeb Developer/System Administratorとして働いているアラフォーおじさんです。

プログラミングとかコンピュータに関する事がメインですが、日常的なメモとか雑多なことも書きます。

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