潮時かもしれない

生まれついての無能なゴミのような人間の俺にとって、コンピュータ、プログラミングは時代と性分がちょうど良く奇跡のようにマッチしたことで、生まれて初めて能動的に楽しいと思えるものだった。

俺だった頑張ればなにか物事を理解することが出来るんだ、努力すれば仕事に出来るんだという希望になった。
無能なので当然物事を理解するのに人より時間が必要になる。20歳当時同じように新卒という立場の人たちが同期で集まって飲み会やらなんやらしている時、俺は泣きながら仕事をしていた。それでもこの仕事が嫌いになるなんて事はなかった。
俺にはコレしか出来なかったし、他に何もない。システム開発はそんな俺でも社会の一員として存在できる唯一のツールであり、希望だった。

しかし、昨今のAIの進歩がその俺の希望を奪いつつ有る。
最初に断っておくと、AI自体はもうこの世に出てきてしまったものなので無かったことにはならないし、進歩も絶対に止まらないと理解している。
そしてAIが有るからこそ多くのことが楽に素早く処理できるようになる。
デメリットが有るのは当然だけど、多くのメリットが有る。コレは間違いない。

プログラミングに人の温もりがだなんてアホみたいなことを言うつもりはない。
でも、俺でも頑張れば出来るんだ、俺は劣っているけど、それでも一応プログラミングは出来るんだ、好きなんだと思っていたことがAIに奪われてきている。

この気持ちをどう処理すれば良いか分からない。
俺のようなゴミでも頑張れるんだ、努力すれば価値が出せるんだという唯一の心の拠り所が奪われた。
もう俺には何も残らない。何もない。ただの40歳の無能な中年男性が今画面を見つめ文章をタイプしている。インターネット上に漂うゴミだ。ゴミを漂流させてGoogle検索を汚すなと怒られていた事を思い出す。
もう別にプログラミングをするのは俺じゃなくて良いどころか、俺がするよりもAIに任せたほうが良いんだろう。

ただ今同時に恐ろしいほどの怒りも同時に存在している。
11歳の子供に250文字程度の文章を書かせることでその人間の最終学歴をAIが予想できるという論文が発表されたというニュースを見た。
俺のような無能な中年男性の未来が奪われるのは仕方がない。実際に俺は無能なゴミだ。いつ死んだって社会にとってなんの損失にもならない。むしろ良い効果のほうが有るのかもしれない。
ただAIは今まで人間が行ってきた活動を学習してそれを0と1というデジタルに落とし込みその延長線上で結果を吐き出しているだけだ。
出力が文章であろうが動画であろうが音声だろうが変わらない。
この世界は毎日毎時毎分毎秒今を生きる人々の思いや偶然の積み重ねの連続だ。
11歳の子供の可能性なんて無限大だ。その子供のその一瞬は宇宙開闢以来一度だって存在したことはない。
その無限の可能性を秘めた子供の未来をたかが250文字程度の文章で予測可能だという考えには俺は全く同意できない。
どういうつもりなのだろうか。その予測を使って子供をより良い方向に導くことが出来るというお為ごかしで誤魔化そうとしているが、そんな技術は資本主義社会において間違いなく人間という経営リソースを効率よく取捨選択するためのツールとして利用される。絶対に利用される。アナログな存在である生命、人間のことを、たかがアナログの近似値しか表現できないデジタルのコンピュータが予測可能だと思い上がって社会を構築していくことの異常。

ここまで文章を書いてみると、怒りと言うよりも悔しさや憎しみと表現したほうが適切なのかもしれない。

肥大化する劣等感と正体不明の焦燥感。ぶつける先のない暴力性を伴った怒りとも憎しみとも取れるネガティブな感情。波のように引いては返す希死念慮。

とはいえ10代の頃、特に専門学校に通っている頃もこんな感じだった。元来自分はそういうネガティブで自分勝手な社会不適合者であった。
なので別に初めての状態ではなく、本来の性質に戻ったとも言える。
今頭の中は常に黒い感情が渦巻いていて軽いパニック状態になることがあるけど、実は心自体はそうでもない。そもそも自分という存在に何も期待していない。ゴミはゴミだ。ゴミが努力したところで何者にもなれないし何事も成し遂げることは出来ない。

今までずっと長い夢を見ていた気がする。
20歳からシステム開発という仕事で飯を食ってきて今40歳。ちょうど20年経った。
この20年、システム開発という夢を見ることで俺のような無能でもなんとか自分を律して生きてくることが出来た。本当に幸福な20年だったと思う。

思い起こせばインターネットの世界は非同期通信が流行りそれを前提として動画配信などのモダンなマルチメディアの基礎が出来上がり、スマートフォンの登場で本来の意味での情報弱者が減り、SNSの普及で様々な便利で楽しい情報が溢れ孤独な人は減ってきた。そういう流れに乗ってここまで来た。
これからは言わずもがなAIの時代。量子コンピュータの発展と宇宙開発。
もう潮時なんだろう。俺はもうその流れには乗れない。誤魔化してなんとかやってきたけどおそらくもう無理だ。
他の道を探せば良いじゃないかと言うのが当然の話だが、俺にはシステム開発しか無かった。
無能は俺にはシステム開発が唯一のパートナーであり、社会の一員という立場を与えてくれるものだった。
今そのパートナーがAIに奪われようとしている。ここから何かを取り返せるとは思えない。

現実問題、家族を養わなければならないので今の仕事は出来る限り続けるが、もう毎日苦痛でしか無い。 2025年は年初からどうも肉体的、精神的にあまりにも不調な状態が続いている。
だからこそこういう思考にもなるんだろうけど、今の自分の未来に対する自分への絶望感は社会の構造の問題なので精神的に頑張ればどうこうなる問題ではないと思っている。
もう潮時かもしれない。

公開日:2025/07/17

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ドイツの現地企業でWeb Developer/System Administratorとして働いているアラフォーおじさんです。

プログラミングとかコンピュータに関する事がメインですが、日常的なメモとか雑多なことも書きます。

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